06 Mar, 2020

Masaki Yukawa exhibition in Nagi-Moca

I assisted with the exhibition and exhibition direction of “Masaki Yukawa exhibition – Beyond the Painting -” at the Nagi Town Museum of Contemporary Art (also known as Nagi MOCA) in Nagi Town, north-eastern Okayama Prefecture.

A movie ‘Masaki Yukawa Exhibition – Beyond the Paintings – in Nagi MOCA‘ has also been produced, briefly summarising the exhibition. Please enjoy it as well.

[Exhibition Info]

date: 2020. 2.8 SAT – 3.15 SUN

venue: Nagi-Moca

[Movie Info]

Music: “Deviation” by Ayumi Yoshioka

Directed by Yuichi Minamiguchi

Thanks to Nagi MOCA

©2020 STORM PETREL STUDIO

岡山県の北東部、奈義町にある奈義町現代美術館(通称 Nagi MOCA)で開催された「湯川雅紀展―絵画の向こう側―」の展示と展示ディレクションのお手伝いをしてきました。Nagi MOCAは1994年に開館した、建築家磯崎新の手になる美術館で、現代美術を中心とした展覧会を開催し続けている世界でも稀な地方小規模美術館になっています。(館の概要についてはこちら

今回の展覧会は、湯川雅紀氏のここ十年ほどの活動の集大成的な展示で、500号や300号といった大きなサイズの作品群だけでなく、更に巨大な、12枚に分割されたキャンバスを組み合わせた作品「gap 3210(Rose)」も展示されています。この「gap 3210(Rose)」は、2011年に第一生命ギャラリーで開催された個展において公開された作品ですが、3.3m×4.8mというサイズゆえ、大きな壁面を有するスペースでしか展示できない作品です。そんな巨大な作品を難なく展示させてくれるのが、このNgai MOCAなのです。

Nagi MOCAは、2019年に開館25周年を迎えたのですが、開館当初は「なぜこんなものを作った」という声もあがったと聞きます。しかし、現在では、対外的には間違いなく奈義町の顔ともいうべき施設となっており、また、町民にとっても欠かせない場所ともなっています。今回の主な展示スペースは南棟ギャラリーなのですが、この南棟ギャラリーの二階は町立図書館となっており、町のあらゆる世代の人々にとって大切な憩いの場となっていました。このように、地方の小規模美術館を通じて、芸術と人々の暮らしを結びつけようとする動きは、昨今世界で興隆を見せていますが、このNagi MOCAは、その先鞭をつけた存在だと言えるかと思います。

この他にも、荒川修作+マドリン・ギンズによる常設展示など、見どころたくさんの美術館なのですが、そのあたりは美術館のページに詳細がございますのでそちらをご参照ください。

そんな立派な美術館で、展示できるのは非常に喜ばしいことなのですが、大きな場所に、大きな作品、それも十数点もありますから、けっこうな肉体労働です。高いところに腕をあげての作業は身体にきつく、初日は高所を担当していた湯川画伯も、展示二日目には肩に不調を覚え、二日目からは小生が高所を担当。いつもなら脚立の上に登れば楽に天井に手が届くので心配ないのですが、ここはそういうわけにはいかず、照明の調整などはかなり骨が折れました。というか、脚立もいつもより高くて、ちょっと怖かったです。

このように肉体的には大変でしたが、館の皆さんの協力のもと、ディレクションや作業そのものはとてもスムーズにすすんだのもあって、とても良い空間づくりができました。あと、休憩のたびに喫茶室で用意していただいたコーヒーが、とても美味しかったです。ごちそうさまでした。

そして、展覧会初日の2月8日には、ギャラリートークが開催されました。司会進行をつとめるのは、この美術館を25年にわたって育て上げてきた岸本館長。奈義町では、前日までは雪がちらついていたのですが、この日は快晴で、気持ちの良い光の中でトークショーは進行しました。

湯川氏は、ドイツでの長きにわたる作家活動経験をふまえた上で、自身の作家としての来歴、デュッセルドルフ美術アカデミーでの教育内容、そして、日本帰国後の作家活動と、それを通して感じた日本の現代美術をとりまく環境の問題点、とくに、美術館と作家との関係についてのお話を披露してくれました。この問題は、美術だけにとどまらず、日本のあらゆる文化事業において共通に見られる問題点であったので、非常に興味深かったです。

 なお、展示の様子を簡単にまとめたムービー「湯川雅紀展ー絵画の向こう側ー in Nagi MOCA」も制作しました。そちらも合わせてお楽しみください。

[展覧会情報]

会場:奈義町現代美術館ギャラリー(Nagi MOCA)

会期:2020年2月8日(土)-3月15日(日)

主催:奈義町現代美術館

[ムービークレジット]

音楽:吉岡亜由美「Deviation」

映像ディレクション:南口雄一

撮影協力:奈義町現代美術館

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